【エアコンカビ予防対策】送風運転で内部を徹底乾燥

エアコンフィンについたカビ

エアコンの運転スイッチを押した直後によくあることといえば、「うっ・・・、風がくさい・・・」ということではないでしょうか?

去年まではこんなことはなかったのに、一体何が原因なのだろう?

その臭いの原因はずばり、エアコン内部に発生したカビです。

この臭いは、エアコンの使い始めとなる春先や秋先に特に多く発生します。

根本的な解決法としては、エアコンの分解クリーニングが最も効果的ですが、業者に依頼する場合は約1~2万円の費用が発生してしまいます。

自分でエアコンクリーニングをすれば出費は抑えられますが、それもちょっと面倒に感じてしまいますよね。

>>洗浄スプレーを使ったDIY掃除(初心者向け)

「どうにかとにかく簡単に、この臭いを取り除くことはできないものか?」

実は、カビ菌はハイターなどの除菌剤を使わなくても、しっかりと乾燥させてやるだけで発生したカビを死滅させることができます。

そこで今回は、エアコン内部の徹底乾燥によるカビ対策についてお話していきます。

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カビが好む環境と増殖メカニズム

まずはじめに、どうしてエアコン内部にカビが発生してしまうのかということについてお話していきます。

意外に知られていないことなのですが、私たちの周囲にある空気中にはカビの胞子(種のようなもの)が常に漂っていて、あらゆるところに付着していきます。

そして、胞子が発芽できる環境とそれに必要な時間があれば胞子は発芽(芽を出すこと)して菌糸(カビのこと)を伸ばし、やがてその菌糸が胞子を周囲に飛散させるという仕組みでカビは増殖していきます。

夏の悩み「カビとニオイ」がもう気にならない!シャープのエアコン「SXシリーズ」大解剖|価格.com

出典)夏の悩み「カビとニオイ」がもう気にならない!シャープのエアコン「SXシリーズ」大解剖|価格.com

ここで気になることといえば、カビが発生するために必要な主な条件はどのようなものであるかということではないでしょうか?

カビについて考える|みんなで家庭科を

カビの発育には,「環境」(栄養分,酸素,温度,水分)と,「時間」が必要である。カビも生物であり,他の生物と同様に発育には時間を要する。環境の各条件が満たされた状態が持続すれば,カビの胞子は発芽して菌糸を伸長し,菌糸上に新しい胞子が着生する。着生した胞子が周囲に飛散し,飛散した胞子の定着箇所がカビの発育に必要な環境条件を満たしていれば,そこで発育が開始しカビによる汚染が拡大する。

出典)カビについて考える|みんなで家庭科を

ここで理解しておきたいことは、エアコン内部はこのすべての条件を満たすことができる環境と言えます。

  1. 栄養物;フィルターと本体の隙間などから空気と一緒にホコリなどがエアコン内部に入り込んでカビの養分となる
  2. 酸素;もちろんエアコン内部にも酸素がある
  3. 温度;停止中のエアコンの温度は室温と同じぐらいになる(カビの生育適温20~30℃)
  4. 水分;冷房運転中はエアコン内部が冷えるため結露水が発生し、特に停止中はファンが停止しカビの発生しやすい高湿度状態となる

ここまで話を進めていくとエアコンの内にカビが生えてしまう原因はよく分かっていただけると思います。

ですが、ここで勘違いしてほしくないことが一つあります。

実はエアコンの風がくさいのはカビそのものが原因なのではなく、カビが増殖していく過程に排出する物質(ケトン、アルコール系化学物質)が原因であるということです。

においのQ&A|空気環境部会

出典)においのQ&A|空気環境部会

ですので、エアコンのにおいを消し去りたい場合、一般的には「エアコン内部に発生したカビを取り除くエアコン掃除(クリーニング)を行いましょう。」ということになっていると思いますが、ここまでの話を理解した人であれば、「エアコン内部に発生したカビを取り除かなくても、エアコン内部のカビの生育を止めてえしまえばエアコンの風のニオイが消える」ということを分かっていただけるのではないかと思います。

つまり、何らかの方法でエアコン内部をカビが生育できない条件にできるのであれば、カビを除去しなくても(形としてはカビが残っていても)、エアコン内部に形としては残っているカビは死んでいるのでそのカビが老廃物を出すことはなくなり、エアコンからはニオイがしなくなるということになります。

では一体どうすれば、エアコン内部のカビを死滅させることができるのでしょうか?

エアコン内部のカビを一気に死滅させる具体的な方法

ここからは、エアコン内部のカビを一気に死滅させる具体的な方法についてお話していきます。

具体的な方法についてお話する前に、カビの発生条件の一つである「湿度」に関してもう少し詳しく説明しておきます。

カビは基本的に湿度の高いところを好むと言われていますが、逆にどれ位の湿度になればカビが生育できなくなるのでしょうか?

このことについては、文部科学省のHPに記載されている微生物の生育可能な最低Awという表を見るとよく分かります。

カビ対策マニュアル 基礎編-文部科学省

出典)1.カビとは|文部科学省

※上の表のAwとは相対湿度(一般的に使われている湿度)のことです。例えば、Awが0.65というのは、相対湿度が65%ということ。

この表を診てもらうと分かる通り、カビにもいろいろな種類がありますが、比較的乾燥に強いと言われている乾性カビ(表の下の方にある)でも、湿度が65%以下(Awが0.65以下)では生育できなくなってしまいます。

ここまでお話するとなんとなく分かってくると思いますが、カビを生育できなくする(=死滅させる)方法は結構簡単で、「送風運転でエアコン内部の湿度を低く保てば、カビは一気に死滅する」という結論に至ります。


※送風運転とは?

送風運転とは、室内機のファンだけ動かす運転(扇風機と同じような状態)のこと。室外機は動かない(冷房ではない)ため、電気代は扇風機と同じぐらい安い。


そうです。

わざわざエアコン内部を分解洗浄してカビを除去しなくても、エアコンの送風運転でエアコン内部の湿度を低くしてあげれば、一気にカビを死滅させることができ、その結果カビの活動による臭いはなくなるのです。

ここで気になることといえば、「では具体的にどれぐらいの湿度をどのぐらいの時間保てば、カビは死滅するのか?」ということだと思います。

そのことについては、以下の記事が参考になります。

菌糸が死滅する条件は、カビの種類によっても違いますし、同じカビでも育った湿度条件によっても違います。ndoor Air’ 96ではユーロチウムというカビを使い、「育てた相対湿度」と「死滅する相対湿度」の関係を発表しました。内容は以下の通りです。

ユーロチウムの菌糸は、

  • 相対湿度93.6%で育った場合、相対湿度61.8%で4時間、52.9%で2時間、43.2%で1時間で死滅。
  • 相対湿度84.3%で育った場合、相対湿度61.8%で16時間、52.9%で8時間、43.2%で1時間で死滅。
  • 相対湿度80.7%で育った場合、相対湿度61.8%で24時間、52.9%で16時間、43.2%で1時間で死滅。
  • 相対湿度75.3%で育った場合、相対湿度61.8%で死滅せず、52.9%で16時間、43.2%で3時間で死滅。
  • 相対湿度70.8%で育った場合、相対湿度61.8%で死滅せず、52.9%で24時間、43.2%で3時間で死滅。

(相対湿度75.3%では発芽するのに1週間、70.8%では発芽するのに1ヶ月かかります。)

日立も三菱電機もダイキンもこのデータをもとにしています。私の所での今までの調査では、室内に多い好乾性カビは全て、相対湿度低減で菌糸が死滅しました。

出典)カビの死滅条件について|NPO生活環境協会

この記事から分かることは、エアコン内部にも様々な湿度域で生育したカビがいるため、一概に「湿度◯%で◯時間運転すればカビが完全にいなくなります!」ということはいえないのですが、一日に一度は冷房を停止させ、冷房を停止している間は送風運転(風量は弱でOK)にすれば、カビが生育しにくい環境になることは確かです。

ただし、一回の送風運転で完全にエアコン内部のカビを死滅させることができるかと言われるとそうではなく、「夜間などの冷房停止時は送風運転を行う」ということを2~3日ほど行っていくと、明らかにエアコンの風の匂いが消えていっていることを実感できると思います。

この作業を一週間も続ければ、エアコンから発生するカビの臭いはびっくりするほどしなくなります。

まずは、このような方法でエアコンのカビ臭を低減することができるだということを知っておきましょう。

カビの発生しやすさを表すカビ指数

ここまでくると、結構カビのことに興味が湧いてきた人もいると思いますし、もっとカビのことについて知りたいという人もいるのではないかと思います。

そんな人のために、カビの発生しやすさを表す「カビ指数」という物をご紹介していきます。

カビ指数とは?

カビ指数とは、カビの発生しやすさを予測する指標のことで、カビの発育は「温度、相対湿度には相関性がある」ということから、カビ指数(下記のグラフ内の数字)を求めたものです。

Bluetooth カビ指数計ロガーCUZ-LR8520|クリマテック

Bluetooth カビ指数計ロガーCUZ-LR8520_2|クリマテック

出典)Bluetooth カビ指数計ロガーCUZ-LR8520|クリマテック

例えば、エアコンの冷房運転後に送風無しで停止した場合、エアコン内部の相対湿度は100%近く(空気中に含むことができる水分の量が最大になっている状態が100%、エアコン内が水で満たされているわけではない)になり、エアコン内部の温度も室温(25~30℃)になると、カビ指数は160ぐらいの値を示すことになります。

カビ指数の表を見てみると、この状態だと6~12時間ほどでカビが発生し、1~2ヶ月ほどでカビ汚染(カビが目に見える形になる、臭がし始めるなど)が始まることになります。

ところが、冷房後に送風運転をしてあげると、エアコン内部の温度はすぐに室温と同じぐらいの温度(25~30℃)ぐらいになるのですが、相対湿度は部屋の湿度(約70%)と同じぐらいになるため、送風運転中のカビ指数はゼロに近い数値となり、カビが発生しにくい状況になることが分かります。

先程もお話しましたが、このカビ指数という指標からも、カビは70%を下回る湿度状態では発生しにくいことが理解できますし、冷房運転後に送付運転をしてあげることでエアコン内部のカビの生育を止める事ができることも理解できます。

乾燥によって死滅するのは菌糸のみ

ここで注意してもらいたいことは、このようなエアコンの送風運転による乾燥によって死滅するのは菌糸と呼ばれるカビの本体だけであって、胞子というカビの種までは死滅させることはできません。

カビが湿度何パーセント何時間で死滅するかというご質問ですが、死滅するのは菌糸だけです。胞子は植物の種子に相当するもので、乾燥状態でも生き残ります。

出典)カビの死滅条件について|NPO生活環境協会

ワイヤレス予測カビ指数計 LR8520 - Hioki

出典)ワイヤレス予測カビ指数計 LR8520 – Hioki

実はこのカビの胞子、乾燥に強いだけではなく、熱や薬品にも強いという性質があるため、なかなかこの胞子を死滅させるのは難しいと考えたほうが無難だと思います。

カビの耐熱性については温度の項で解説したがカビ菌糸のみを殺滅するのは比較的低温(80度、30分)加熱で良いが、分生子、子嚢胞子、厚膜胞子などの耐熱性細胞は120度、2時間以上の加熱が必要である

出典)1.カビとは|文部科学省

カビ指数を作った農学博士の阿部恵子さん(環境生物学研究所)も、カビに関してはこのような発言をされています。

室内でカビを育てて死滅させることを期待するより、育たない環境にしておくほうが良いと思います。その場合、相対湿度65%を切っていればカビは発育しませんので、相対湿度50%でも充分です。ご参考に、私の家のリビングでは夏はエアコンと除湿機を両方同時に使っています。 暑い時間帯はエアコンが稼働、夕方になり温度が下がればエアコンが止まり、相対湿度が上がれば除湿機が稼働を始めます。寝る前はエアコンを送風に切り替え、3時間エアコン内部を乾かします。エアコン内部の乾燥は、エアコン内部でカビが育つのを抑えるためです。

出典)カビの死滅条件について|NPO生活環境協会

というのも、先程のカビ指数をもう一度みていただければ分かる通り、カビは発生する(胞子が発芽する)までにある程度の時間が必要であり、一日に一度しっかりと乾燥させるという工夫をしてあげれば、胞子がの発芽を抑制することができます。

また、先程までにお話した通り、菌糸の方は一度の乾燥で結構しっかりと死滅していきますので、一日の冷房運転の間で胞子が発芽し、カビ増殖し、そこから新たな胞子を作り出すというところまでは成長することはできなくなります。

ですので、胞子まで完全に死滅させることができなくても、一日に一度の定期的な送風運転を行っておけば、カビの発生を断ち切ることができてしまいます。

エアコンクリーニングをどのように考えるか?

ここまで話を進めていくと、「エアコンクリーニングなんていらないのでは?」と考える人がいるかもしれません。

ですが、それは半分正解で、半分間違いです。

今回の話はエアコン内に発生したカビによるニオイを消し去る方法というスタンスで話を進めてきましたので、冷房運転後の送風運転でカビのくさい臭いを消すことができることまでは分かっていただけたと思います。

ですが、この送風運転によるエアコン内部の乾燥は万能ではありません。

例えば、24時間エアコンの冷房をつけっぱなしにすることによって電気代を節約するという方法はできなくなりますし、カビではなくタバコのヤニのニオイや焼肉などの霧状の油がエアコン内部についてしまった事によるニオイは、いくら送風運転をやっても消えることはありません。

このような場合はエアコンクリーニングなどを行い、エアコン内部にある匂いの原因そのものを取り除く必要があります。

>>【水道散水ノズルでエアコン掃除】内部カビ汚れのDIYクリーニング(中級編)

>>【エアコンクリーニング】室内機を取外&分解して徹底的に洗浄する方法(上級編)

このような方法で分解クリーニングなどでカビそのものを除去出来た場合、1~2シーズンほどは上記のような送風運転をする必要はなくなります。

毎日夜に送風運転にするのが面倒だという人は、エアコンの分解洗浄も検討する必要が出てきます。

エアコンフィルターの掃除がとても大事

その他にも、エアコンの取扱説明書などにも書かれているように、エアコンフィルターの2週間に一度の掃除がとても重要です。

例えば、エアコンのフィルターにサランラップを貼り付けたところ(ホコリがフィルターを詰まらせた状態)をイメージしてもらうとわかりやすいのですが、フィルターから空気を吸い込めないエアコンは、フィルターと本体の隙間などから空気を取り込もうとします。

エアコンフィルターの隙間からホコリが侵入

その結果、カビの食料となるホコリがアルミ熱交換器や送風ファンの表面に付着し、そこからカビが発生してしまうというメカニズムが見えてくると思います。

ですが、エアコンフィルターを常にきれいな状態にしておくことができれば、エアコンに取り込まれる空気は必ずエアコンフィルターを通ることになるため、内部にホコリが侵入してしまうことがなくなります。

ちなみに、一般的なエアコンの耐用年数は10年ぐらいに設定されています。

ルームエアコンの耐用年数の表示

メーカーが指定する通りに二週間に一度のフィルター掃除を行うことができていれば、エアコンから臭いが発生するほどの大量のカビが発生してしまうというのは稀なことで、分解クリーニングが必要になるのは喫煙汚れや油汚れの多い飲食店などに限られるという認識でいいと思います。

ただ、それはフィルター掃除をちゃんとやっていればの話で、そんなに頻繁にエアコンフィルター掃除をしている人は少ない、だからエアコンクリーニングが必要になるというわけです。

フィルターの自動掃除機能付きエアコンならカビとは無縁か?

最近では高価格帯のエアコンにはフィルター自動掃除機能付きの製品も増えてきました。

自動でフィルター掃除をしていくれるのであればカビとは無縁になると思いきや、実は自動フィルター掃除機能付きのエアコンでもカビ汚れが目立つケースがよく見られます。

もちろん、何もメンテナンスしていない普通のエアコンに比べれば、自動掃除機能付きのエアコンのほうがカビの発生は少ないのですが、それでも長いこと使っていると内部がカビでびっしりになっていたりします。

この原因として考えられるのが、最近の住宅の断熱、気密性能の向上です。

夏場の冷房を想定してみると、住宅の断熱気密性能が上がればエアコンの稼働率が下がります。

つまり、少し運転すれば簡単に部屋が冷えてくれる様になったというイメージを持ってもらえればOKです。

これは電気代の節約や省エネにはとても良いことなのですが、エアコンの稼働率が下がるということはエアコンで除湿できる水分量も少なくなってしまうということに繋がってしまいます。

というのも、エアコンの冷房運転は除湿運転よりも湿度を下げる効果があり、ざっくり言うと、エアコン冷房運転の消費電力量が増えると、除湿される水分量も増える(ドレンホースから室外に排出される水分の量が増える)ことになります。

冷却フィンとドレン皿、ドレンホースのイメージ図

一昔前の家は気密断熱性能が低かったため、夏場はエアコンをフル稼働して使っていたため、エアコン内部では空気中から除湿された大量の水がドレンホースから排出されていました。

この時、アルミフィンなどについた汚れなども水と一緒に室外に排出されていたため、エアコンの内部に汚れが溜まりづらい状況でした。

でも、最近の住宅では、エアコンの稼働率が低くなってきたため、それに伴って除湿される水分量も少なくなり、エアコン内部の汚れが室外に排出されにくくなってきています。

さらに言えば、住宅の気密性能が上がってきた結果、以前より室内で発生した湿気が外に逃げにくくなってきていて、それに加えて先ほど説明したようにエアコンの稼働率が下がることによってエアコンで除湿できる水分量が減ったため、部屋の中の湿度が高く保たれてしまう傾向にあります。

カビは高湿度の場所に発生しやすいため、高気密高断熱の家のエアコンの内部には自然とカビが発生しやすくなってしまうという状況もあったりします。

ですので、高気密高断熱の家に住んでいる場合、カビを発生させないために、エアコンのフィルター掃除をまめにしたり、定期的に送風運転を取り入れてエアコン内部を乾燥させたりしていくことが必要です。

最後に一言

今回は、【エアコンカビ予防対策】送風運転で内部を徹底乾燥についてお話しました。

エアコンがくさい原因の多くはカビであり、そのカビは送風運転でエアコン内の湿度を下げてあげれば一気に解消することが可能です。

送風運転(消費電力は数W)の電気代は扇風機と同じぐらいなので、半日つけっぱなしにしても数円、それを1ヶ月続けても数十円レベルです。

分解クリーニングまではしたくないけど、どうにかこの臭いを解消したい場合は、ぜひこの送風運転によるカビ退治に挑戦してみてくださいね。

それでは!

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